CAREお花のお手入れ
水あげの方法
植物の花や葉がしおれて来るのは発散する水の量に対して吸水する水の量が少ないからです。
ですから発散を少しでも防ぎ吸水しやすくしてやればよいわけです。その吸水しやすくしてやるのが水あげです。
水あげの方法は植物により使い分けますがほとんどの植物が水切りにより水あげができます。
また、水あげする前には、根元の方の葉や無駄な葉は取り除いておきます。
- 水切り
- 根元の茎を水に入れて、先端から2~3cmのところを水中で切ります。
水中で切るのは、茎の中に空気が入るのを防ぐためと水圧で水あげの効果を高めるためです。
このとき切り口の断面を広く斜めに切ることと器の水量が多いほどより効果的です。
ほとんどの植物が水切りにより水あげができます。
- 湯あげ
- 切り口から出る有機物質が、バクテリアを繁殖させ、花を腐らせる原因になります。
そこで、切り口を煮沸して消毒し、強度の刺激を与え瞬時に吸水させるのが湯あげ法です。
水切りしてから、植物の上の方を紙でくるんで先端3~4cmほどを煮立ったお湯に15秒ほど入れ、そのあと冷水で冷やします。ストック、マーガレット、シャクヤクなどに有効です。
- 焼く
- 植物を焼くのは、バクテリアの繁殖を防ぐことと炭化させて吸水しやすくすることが目的です。
乾燥しないように、植物の上の方を紙でくるみ、これを水に濡らしてから、根元の茎の先端2~3cmを焼きます。炭のように黒くなったら、冷水に一気に冷やします。
アジサイ、ダリア、クチナシ、バラなどに有効です。
- 折る
- 茎がビッシと折れるものは先端から3~4cmのところを手で折ります。
水の中で折るとより効果的に水があがります。キクなどに有効です。
- 割る
- 茎が堅い枝物などは根元を十文字などに縦割りを入れます。
- 砕く
- 茎が堅くて、水を吸い上げにくい植物では、断面積を広くするためにハンマーで茎先を砕きます。
あまり強く砕きすぎないようにし、このあと水につけます。
オミナエシ、カスミソウ、キキョウ、枝物などに有効です。
- 逆さ水
- 葉に水をかけ、水分の蒸発を防いで水あげを促すのが逆さ水。
植物を逆さに持ち、葉の裏に水をかけます。
アジサイ、クチナシなどに適していますが、花弁の薄い植物は避けて下さい。
- 深水
- 野草類などの水あげが悪い植物では、水切りしたあと、たっぷりの水にひたし、深水します。
花が垂れてしまっているバラなどでも、濡れた紙で植物全体をくるんで、深水すると元気になります。
- 水あげポンプで注入
- 茎の切り口から水あげポンプで水を注入する方法です。
スイレン、ハス、コウホネなどの水生植物に有効です。
- 薬品法
- 水あげ後、切り花延命剤を入れるとバクテリアの繁殖を防ぎ、水を吸いあげやすくし、栄養補給もしてくれます。
花瓶の水に溶かすだけで、花持ちがよくなり、また、水替えの必要もありません。
延命剤以外でも、酢、アルコール、ミョウバン、砂糖、洗剤などが有効なものもあります。
- その他(ブルースターなど)
- ブルースターなどは茎を切ると白い樹液がでます。この樹液が水揚げを阻害します。
この場合の水あげは、切り戻した後、10%の食塩水の中に樹液が出なくなるまで洗います(10~15秒位)。
樹液がでなくなれば、あとは水で切り口を流しながら、かるくブラシなどで4~5回こすります。
その後、水に入れます。
花を美しく保つポイント
花の命は短いのが身上です。その美しさを保つには、毎日きちんと手入れを欠かさないことです。
花を長持ちさせるための正しい置き場所、水替えの頻度や水の量などに注意することが大切です。
また、購入したり、プレゼントされたりした花は持ち運んでいる間に切り口が乾いていることもありますので活ける前に切り戻しや水あげをすることも重要です。
- 水は毎日替える
- 植物の切り口からはつねに有機物が分泌されていて、これが水にとけだし、バクテリアを発生させます。
このことが花を腐らせる最大の原因となります。そこで、花瓶の水は毎日、新鮮なものに取り替える必要があるのです。気温の高い夏場は、特に、バクテリアの繁殖も盛んになりますので、まめに水替えをしなければなりません。ただし、切り花延命剤を使用している場合は、毎日取り替える必要はありません。
水が減ってきたら切り花延命剤を薄めた水を足します。
カゴなどにアレンジされているものも切り花延命剤を薄めた水を足します。
- 花瓶の水は多目に
- 植物は吸い上げた水を葉から蒸散させていますし、また、水自体も花瓶の表面からつねに蒸発しています。
水が不足しないためには、花瓶の水はたっぷり入れておくことです。
ただし、水あげがきわめていいショウブ、アイリス、グラジオラスなどは、水を少な目に。
水が多いと、ぐんぐん水を吸い上げてしまい、花が早く開いてしまいます。
また、ガーベラ、コスモス、チューベローズなどの茎が腐りやすい植物も水を少な目にします。
なお、水につかる葉は必ず取り除いておきます。早く花を腐らせる原因になります。
- 低温の場所を選ぶ
- 花を長持ちさせたいのなら、なるべく気温の低い場所を選んで置くのが鉄則です。
温度の高い所では、花器の水が腐りやすく、また、花の呼吸がはやくなるため、花持ちが悪くなります。
暖房の強い部屋、日当たりの良すぎる場所は避けましょう。
また、窓辺は日中、高温になるだけでなく昼間と夜の温度差が大きいので、適しません。
- 乾燥する場所は避ける
- 乾燥する場所では、植物から水分が奪われ、その分早く枯れてしまいます。
なるべく湿度の高い場所を選んで花を置くようにしましょう。特に、エアコンの吹き出し口のそばは要注意です。
茎の細い物、花弁の薄い物などは概して乾燥に弱いので、絶対にエアコンの風を当てないことです。
- 霧吹きなどで水分を補う
- 花のみずみずしさを保つために、一日一回は茎や葉に霧吹きで水を吹きかけましょう。
気温が上昇し始める午前にやっておくのが最適です。水を吹きかけることで植物の表面の温度を下げる効果もあります。
- 切り戻しをする
- 毎日水を取り替える時に、茎のヌルヌルを水で洗い切り口を少し切り戻しておくことです。
常に、切り口を新鮮にしておけばバクテリアの発生も防げます。
また、茎が茶色く変色しているときは、その部分を切り変色していない茎の所で切り戻しておきます。